公開日:2026年7月4日
「エックスイコール、ニエーブンノ、マイナスビー、プラスマイナス、ルートビーノニジョウマイナスヨンエーシー」
聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。中学3年生で習う、二次方程式の解の公式です。覚えなくて大丈夫です。今は雰囲気だけ感じてください。
初めてこれを聞く中3生にとっては、ほとんど呪文のような言葉です。でも、この呪文に数値を当てはめれば、どんな二次方程式でも答えが出てくる。まさに魔法の公式です。
ただ、ここで大きな差がつきます。「呪文として数値を当てはめればいい」という感覚のままなのか。「どうしてこの公式が成り立つのか」をちゃんと理解してやっているのか。この違いは、思っている以上に大きいのです。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。今日は、Moveで毎年行っている「解の公式を導く授業」の話をします。
解の公式を導出できるようになること。これは数学にとって、とても大切な感覚を養うことだと考えています。
だからMoveでは毎年、ここに1時間から2時間を割きます。解の公式を、自分の手で導き出せるように説明します。そして、お互いに自分たちで説明し合うのです。
冒頭の写真は、まさにその様子です。ちなみにこの日はAクラス・Bクラスに分かれているうちのBクラスの生徒たちでしたが、それでもこうした授業がしっかり成り立ちます。
この様子を見ていて、思ったことが2つあります。
ひとつは、子どもたちがとても楽しそうだということ。
解の公式の導出は、中3生にとって簡単なことではありません。むしろ、これまでとは段違いに難しいレベルの話です。それでも、お互いに説明し合おうとするその姿は、本当に楽しそうなのです。
ある子は、手を動かしながら「ここがこうなるから、こっちに移項して」と、隣の子に一生懸命説明していました。うまく伝わらなくて言い直したり、ノートに書いて見せたり。その試行錯誤そのものが、楽しそうなのです。
きっとこの授業を経て感覚をつかんだ子は、もう数学のレベルがひとつ変わっているだろうと思います。感覚が変わる。勉強がつまらないと思うことも、減っていくだろうと思います。
自分の力でクラスメートに説明しきった子が「なんか、うれしい」と言っていたのが、とても印象的でした。何度も「なんか、うれしい」と。あの言葉が、すべてを物語っている気がします。
「基本はできるのに、応用になると解けない」。こう嘆く子や親御さんが数多くいます。実は、そういう子の多くが、こうした公式の成り立ちを理解していません。自分が何をやっているのかを理解しないまま、解き方だけを覚えているのです。
そういう勉強の仕方をしていれば、当然どうなるか。その公式を、どのような場面で当てはめればいいのかがわからない。公式から外れた状況を整理することもできない。そうして、解けなくなるのです。
ただ、考えてみてください。解の公式の導出が、応用問題であるはずがありません。公式の理解という意味では、基本中の基本に含まれます。
つまり、こうも言えるのです。「基礎はできるのに応用はできない」という子の多くは、実はこの基本中の基本を、おろそかにしているのだと。
もうひとつ思ったことは、教育学や心理学でよく言われることです。
友だちに何かを教えているとき、実は自分が一番よくわかった。そんな経験はないでしょうか。物事をしっかり記憶し、理解しようとするとき、人に説明することは非常に有効な手段です。これを「精緻化記憶」と呼びます。
人に説明するためには、その周辺の知識まで理解していなくてはいけません。整理して話そうとする力も必要になります。そうしたプロセスを経て脳に刻まれた知識は、そう簡単に忘れません。
もし忘れたとしても、自分で導き出せる。一度自分の手で作り上げた公式は、たとえ度忘れしても、その場でもう一度作り直せるのです。この安心感は、丸暗記では決して手に入りません。
ちょうど昨日、SNSである塾の先生が嘆いていました。「解の公式がどうして成り立つのか知りたい?」と生徒さんに聞いたら、「いや、結構です。大丈夫です」と笑われてしまったそうです。その先生も「まあ、そんなものだよね」という感想でした。
その気持ちも、わからなくはありません。導出を教えるのは、手間も時間もかかりますから。それでもMoveがやめないのは、ここを飛ばした先に「基礎はできるのに応用ができない」がやってくると知っているからです。だから、非常にもったいないと思うのです。
説明しきるところまで持っていくことができたら、あの「なんか、うれしい」とつぶやいた子のような感覚が手に入るんですよ。そう伝えたくなります。
解の公式の導出、ぜひ楽しく、しっかりとマスターできるように、お互いに説明し合ってみてください。数学に対する感覚が、本当に変わります。
Moveの一幕をお届けしました。なお、明日は学校選びの会があります。皆様のご来場をお待ちしております。
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