公開日:2026年7月8日
「テストで〇点取ったら、ごほうびね。」
お子さんに、こんな声かけをしたことはありませんか。
やる気を出してほしい。ただ、その一心で。
ところが心理学の世界では、この「ご褒美でやる気を出させる」やり方に、ある落とし穴が知られています。
今日は、なぜ私が塾の仕事をしながら大学で心理学を学んでいるのか。そのわけを、この話を入り口にお伝えします。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。
先日の塾選びのイベントで、本当にたくさんの方とお話しする機会がありました。その中で私が大学で心理学を学んでいると伝えると、多くの方が驚かれます。塾の先生が、どうして心理学を、と。
この話は、時々きちんとお伝えしておかないと、忘れられてしまいます。
「ああ、そういう立場の先生だったな」と思い出していただくために、今日は改めてお話しします。
どんな塾の先生も、教育にとても熱心です。
毎日子どもたちと向き合い、保護者の方と話し、指導を重ねていく。
その積み重ねの中で、先生は一人ひとり、自分なりの教育論を育てていきます。
たとえば私であれば、こんなことを考えてきました。
定期テストの過去問を解かせるのは、じつは学力にとってマイナスではないか。
子どものやる気は、不安から生まれるもの(フィアベース)よりも、安心と面白さから生まれるもの(ラブベース)のほうが、健やかに続くのではないか。
そうやって、子どもがより勉強しやすい環境とは何かを、ずっと探ってきました。
これは私だけの話ではありません。
多くの塾の先生が、それぞれの現場で感じたことをもとに、自分の持論をつくり、指導に生かそうと真剣に頑張っています。
ただ、ここで少し立ち止まりたいのです。
先生方の持論の中には、ときどき、首をかしげたくなるものもあります。
たとえば、こんな仕組みを見かけることがあります。
「テストで何点以上取ったら、授業料を減額します。」
「宿題や自主学習をポイントにして、貯まったら授業料が安くなります。」
子どもをやる気にさせたい。その思いから生まれた工夫だというのは、よくわかります。
けれど、心理学には「アンダーマイニング効果」という考え方があります。
褒めること以外の、お金やモノといった目に見えるご褒美でやる気を引き出すと、そのあと、勉強そのものへの興味がしぼんでいくことがある。
これは、たくさんの研究で確かめられている現象です。
つまり、ご褒美でやる気になるのは、あくまで一時的。
長い目で見ると、その子の「勉強したい気持ち」そのものを、静かに押し下げてしまうことさえあるのです。
よかれと思ってやったことが、じつは勉強にとってマイナスだった。
そんなことも、起こり得ます。
ひとつ、付け加えておきます。
ご褒美のすべてが悪いわけではありません。
大きな目標をやりきったあとの、一度きりのお祝い。
そういう区切りのご褒美は、頑張りを分かち合う温かい時間になります。
問題になるのは、点を取るたびにモノがもらえるような、勉強とご褒美がいつもセットになった仕組みのほうです。
では、どうすればいいのか。
私は、塾の先生の仕事とは、理論と実践と経験を、一つに束ねることだと思っています。
現場で感じた手ごたえ。
日々の指導で試したこと。
そして、それを裏側から支える、学術的な理論。
この三つがそろってはじめて、子どもへの関わりに芯が通ります。
ところが、心理学を体系的に学んで指導に生かす塾の先生は、そう多くありません。
だからこそ、Moveがそこに飛び込もうと決めました。
もちろん私も、これまで本をたくさん読み、多くの方に教えを請うてきました。
それでも、大学で学ぶ学問はやはり違います。
一つの理論の裏には、気の遠くなるような数の研究や観察、実験が積み重なっています。
だから、たまたまうまくいった一つの成功例を、そのまま「これが正解だ」と一般化してしまうことがありません。
そうした確かな土台の上に、Moveの指導をつくっていきたいのです。
理論の話が続いたので、ここで一つ、実際にあった話をします。
うまく言葉にできるか自信がないのですが、私がこの仕事を続けている理由が、たぶんこの一場面に詰まっています。
中学3年生でMoveに入ってきた子がいました。その子が高校生になり、あるとき後輩たちの前でスピーチをする場面がありました。
彼は、後輩たちにこう語りかけたのです。
「勉強って、楽しくないですか?」
「僕はMoveに来て、勉強が楽しいと知りました。」
それを聞いて、私はすごく嬉しかった。
ご褒美でつくった一時的なやる気ではありません。彼の中から、自然にあふれ出てきた言葉でした。集中して机に向かい、わかる、できる、進む。その手ごたえを積み重ねた先で、彼は自分の言葉として「勉強は楽しい」にたどり着いたのです。
だから、私の立場をはっきりお伝えします。
私が大切にしているのは、ラブベース。
勉強は楽しいから勉強する。
不安に追い立てられてではなく、面白いから、知りたいから机に向かう。
その姿を、子どもたちの中に育てたいのです。
では、「勉強は楽しい」を、どうやって伝えるのか。
私は、まず自分がやってみせようと思っています。
私がいま心理学を学んでいるのも、義務だからではありません。
純粋に、面白いからです。
大人が、楽しそうに学び続けている。
その姿こそが、子どもにとって一番の教材になると信じています。
(その延長で、2027年の10月ごろには「認定心理士」の資格取得も目指しています。)
「うちの子の場合は、どう声をかけたらいいのだろう?」
もし、そう感じられたなら、一度お話を聞かせてください。
Moveがどんな考えで子どもたちと向き合っているのか。
その根っこの部分を、これからも折にふれてお伝えします。
どうか、応援していただけたら嬉しいです。
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