こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。
8月6日、夏期講習も終盤に差し掛かりました。
明日と明後日を終えれば、お盆休みをいただきます。
それを考えると、あまり勉強する時間は残っていないかもしれません。
そんな中で、少し違う話をさせてもらえたらと思います。
Xで話題になっていることについてです。
「wakatte.TV」への九州大学教授の批判
「wakatte.TV」という、登録者数約76万人のYouTubeチャンネルがあります。
武田塾の広報幹部を務める先生がメインで出演し、多くの視聴者に支持されているコンテンツです。
街頭や大学のキャンパスで学生に学歴を尋ね、その進学先によって評価を下すという企画が、番組の主力になっています。
番組自身は、学歴至上主義をあえて演じることで、それを皮肉るという建て付けを掲げています。
それでも、その基本路線に、九州大学の教授が異を唱えました。
批判の対象になっているのは、学歴の低い大学、あるいは難関大学ではない大学に進学した人を笑いものにするという構成です。
皮肉のつもりであっても、実際に広がっていくのは学歴で人を笑う空気そのものではないか、ということです。
エンタメとして楽しむ視聴者がいる一方で、学歴差別を助長しているという批判の声も上がり、私のタイムラインはこの話題で溢れかえっています。
そして、私は、九州大学の先生の立場を支持します。
はっきりと、そう思います。
その笑いは、誰を傷つけているのか
擁護する声の中には、いろいろな意見がありました。
「エンタメに本気になるなんて、的外れだ」という意見。
僕はそうは思いません。
エンタメだからといって、人を笑いものにしていい理由にはならないからです。
また、番組でからかわれる学生は、事前に了解を得た上で出演しているから問題ない、という意見も見ました。
確かに、そうらしいと聞いてはいます。
けれど、その子の学歴を馬鹿にするということは、すなわち、その大学に通っている学生全体を、そして卒業生全員を馬鹿にしているという構造が生まれます。
出演している子たちが了解していれば済む、という問題ではありません。
もし僕が、自分の出身大学の学生がその番組で馬鹿にされることを許容していたら、その学生さんに対して思うところが出てくるはずです。
なぜ、自分まで一緒に馬鹿にされなければいけないのか、と。
ここからは、見ている側の話です。
もうひとつ、気になる声がありました。
「番組を見て、学歴の現実を知り、やる気になった」という感想です。
一見、前向きに聞こえるかもしれません。
けれど、これは危うい入り口だと思っています。
上の大学に行かないと、馬鹿にされる。
その前提を受け入れた上で、馬鹿にされたくないから勉強する。
心理学では、動機づけを一枚岩のものとは考えません。
罰や報酬があるから動く段階。
恥をかきたくないから動く段階。
自分にとって価値があると納得して動く段階。
そして、面白いから動く段階。
「馬鹿にされたくないから」は、二番目の、恥を避けるための動機です。
続きにくく、しかも本人がしんどい。
そして、そのモチベーションのままでは、合格した後が心配になります。
合格した後に、勉強に対して見向きもしなくなるのですから。
せっかく難関大学に進学しても、その価値に気づくことなく、勉強に対して後ろ向きな感覚になることも多いのです。
せっかくがんばったのに、なんてもったいないと感じてしまいます。
今、Moveの受験生たちは、この夏期講習期間で70時間、80時間という時間を勉強に費やしています。
もしこの子たちの動機が「馬鹿にされたくないから」のままだったら。
そう考えると、恐ろしさを覚えます。
そんな状態に子どもたちを追い込むために塾をしているわけではない、と。
ただ、恐れから入ってきた子を突き放すという話ではありません。
入り口が不純な子は、たくさんいます。
親に言われたから。友達が行くから。馬鹿にされたくないから。
それでいいのです。
問題は、そこで止まるかどうかです。
やっているうちに、わかることが増えて、面白くなってくる。
その移り変わりを起こせるかどうかが、塾の仕事だと思っています。
恐れで入ってきた子を、面白さの側へ動かしていく。
そこに時間をかけたいのです。
学歴社会の本当の問題は、大学の中身が見られていないこと
もちろん、学歴社会という現実そのものがあることは否定できません。
これは以前もお話ししたことですが、社会格差の再生産という「役割」を教育が担っているという側面も否定できません。
そうだとしても、この番組の構成をすべて肯定するのは難しいと思っています。
そして、何よりお伝えしたいことがあります。
学歴差別や学歴重視という言葉を使うとき、その「学歴」は、多くの場合、どこの大学に合格したかというだけの話になっています。
そこが、一番の問題だと思うのです。
大学で何を学び、どんな学問に触れ、どんな人間として社会に出ていくのか。
そこが見られていません。
名前だけの有名大学に受かりさえすれば、それでいい。
そんな風潮こそが、一番の問題だと思っています。
子どもたちに届けたい、学ぶこと自体の面白さ
大学の学問は、面白いのです。
どの分野であっても、本気になれば、きっと面白い。
だからこそ、どこの大学で、どんな学問や知識に触れ、何ができるようになった人間として社会に出るのか。
その中身にこそ、目を向けてほしいと思っています。
有名大学に受からなかったら笑われる。
だから勉強する。
そこで止まってしまったら、あまりにも苦しいことです。
もっと単純でいいのです。
学ぶことは、面白い。
知ることは、面白い。
その延長線上に、進学があってほしい。
そして、その先で自分の好奇心をどこで満たすのか、どんな人間として社会に出るのか。
そこを一緒に考えていきたい。
それが、僕の願いです。
先日Moveで開催した、広島大学の小川景子先生による睡眠科学の講演会でも、同じことを強く感じました。
講演の後、子どもたちは次々に小川先生に質問しました。
大学の学問の話に興味を示し、質問するのです。
きっと面白いと思ってもらったのでしょう。
学問の面白さの一端を、中学生や高校生に伝えられたことを、嬉しく思っています。
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