公開日:2026年6月8日
「ちゃんと勉強したのに、テスト中に思い出せなかった」
そんな経験、お子さんから聞いたことはありませんか?あるいは、お子さん自身が「わかっていたのに出てこなかった」と悔しそうにしていたこと、あるかもしれません。実はこれ、覚え方の問題である可能性が高いのです。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。先日、放送大学のスクーリングに参加してきました。今回のメインテーマは「記憶」。認知科学の視点から、記憶がどのように形成され、なぜ思い出せなくなるのかを改めて学んできたのですが、塾でやっている工夫が裏付けられたこともあれば、「もっと取り入れなければ」と反省させられたこともありました。今日はその中から、特に印象に残った2つのポイントをお話しします。
記憶には3つの段階があります。まず取り込んで、脳に蓄えて、最後に引き出す。この3ステップです。この流れを経て、「覚えて、思い出す」が初めて成立するのです。
ところが、テストで「わかっていたのに書けなかった」という失敗の多くは、実は引き出す段階ではなく、取り込む段階にすでに問題があると、認知科学の研究は示しています。インプットのやり方が浅かったり、雑だったりすると、思い出そうとしても思い出せない。思い出せないのは忘れたのではなく、最初から正しく入っていなかった、ということなのです。要するに、覚えた気になっていただけだった、ということですね。
そこで、インプットの方法が大切になります。声に出す、繰り返す、リズムをつける、いろいろな方法がありますが、特にご紹介したいのが、「人に説明する」という方法です。覚えたことを言葉で誰かに話すことで、理解が深まり、記憶が格段に定着しやすくなる。これをアウトプット学習と呼びます。人が相手でなくてもよく、ぬいぐるみや人形に向かって話すだけでも効果があるという話でした。
Moveでも、授業の中で生徒同士が説明し合う場面を設けることがあります。でも、まだ一部に留まっているのが現状です。「これをMoveの定番にしたい」と、今回改めて強く思いました。アウトプット学習を、日常の授業の中に当たり前のように組み込んでいくつもりです。
もう一つ、印象深かった話がこちらです。楽しい気分で勉強しているときは、記憶が促進される。「結局、ここに行き着くのか」と、苦笑してしまいました。
脳はネガティブな感情状態にあると、入ってくる情報を遮断しようとする傾向があるそうです。「つまらない」「眠い」「落ち込んでいる」。こういった状態では、勉強の量をこなしていても、脳に届く情報は少なくなる。効率が下がるのです。量をこなすより先に、気持ちの問題がある、ということですね。
ちょっと言いにくいのですが、「勉強しなさい!」とお子さんを叱ることは、やる気を削ぐだけでなく、勉強の効率そのものを下げる行為になりかねません。無理に機嫌を取る必要はありませんが、できれば楽しい気持ちで塾に送り出していただけると、私としても助かります。
実は私、授業の最初の5分ほどでおもしろい話をすることがあるのですが、そうやって教室の雰囲気が明るくなったときの方が、子どもたちの集中力は明らかに高いように感じています。だから、ダジャレも授業の一部なのです。14年間言い続けてきた甲斐があった、と少しほっとしています。これからも続けていこうと思います。
今回学んだことを整理すると、笑える授業と、アウトプット学習。どちらも、記憶に残る授業のために大切なことだと改めて確認できました。今回の講義で、長年やってきたことに、学術的な根拠をもらえた気がしています。
そして実は、講義の終わり頃、思い切って先生に声をかけてみました。講義をしてくださった広島大学の准教授の先生に、Moveでお話ししていただける機会を作れないかとお願いしてきたのです。先生のお話は本当に面白く、生徒たちにも聞かせてあげたいと思いました。ぜひ実現させたいと思っています。実現すれば、今日お話ししたような内容をより詳しく皆さんにお届けできる機会になるはずです。楽しみに待っていてくださいね。
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