夏期講習が終わり、Moveの中学生は、ほぼ全員が定期テスト2週間前に入っています。
今日も多くの子が塾に来て、必死に机に向かっています。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。
さて、あるSNSで、しばらく前から盛り上がっている話題があります。
中学校の定期テストの過去問を、塾が使うことの是非です。
Moveのブログを追ってくださっている方はご存じかもしれませんが、この件について私の答えは2013年の開塾のときから決まっています。
進学空間Moveは、中学校の定期テストの過去問を使いません。
これから先も、使うつもりはありません。
先生がだめだと言うものを、塾が配る
前期中間テストが終わったあと、生徒たちに「どこを間違えたか知りたいから、テストの問題を見せて」とお願いしたことがあります。
そのとき、ある生徒が不安そうな顔で聞いてきました。
「先生、コピーして使わないよね?」
学校の先生が、塾で過去問を使わないようにと子どもたちに伝えていることがあります。
だからその生徒は、私に確認したのです。
答えは、使いません。
まず、著作権の問題があるからです。
学校の先生が作った定期テストは、その先生、あるいは学校の著作物です。
塾は、どう言葉を選んでも民間企業です。
著作権法には、授業のためであれば著作物をある程度自由に使ってよい、という決まりがあります。
ただしその対象は、「営利を目的として設置されているものを除く」教育機関に限られています。
つまり私たち民間の塾は、はじめから外されています。
公の機関である学校が作った著作物を、無断で複製して、サービスの一部として子どもたちに配る。
Moveは、そこに加担しません。
「グレーだから大丈夫」というお話も、確かに耳にします。
ですが私は、これをグレーだとは考えていません。
アウトでしょう。
だから、使わない。
本当は、この一行で話は終わるはずです。
ところがSNSを見ていると、「著作権の話はいったん置いておいて」と、議論が先へ進んでいきます。
置いておけるものではないと思うのですが、それだけでは伝わらないようですので、もう少しお話しします。
子どもに罪悪感を背負わせたくない
さきほどの、コピーして使わないよねと聞いてきた生徒の話に戻ります。
その子が、テストの紙を差し出しながら、先生を疑わなければいけなかったのです。
学校の先生がだめだと言っていることを、塾が堂々とやっている。
しかも、その紙を渡すのは自分です。
どこかで、後ろめたさを感じますよね。
子どもは、大人が思っているよりずっと敏感です。
勉強というのは、本来まっすぐな行為です。
そこに罪悪感を混ぜてはいけない。
罪悪感を感じさせない教育を、私はしたいと思っています。
得点は上がるのに、学力は伸びない
実は私にとって、いちばん大きい理由がこれです。
先に結論を書きます。
過去問を配れば、得点は上がります。
けれど、偏差値は上がりません。
なぜそうなるのか、順を追ってお話しします。
Moveを立ち上げる前、前職の職場で、過去問を集めて子どもたちに配る指導を行っていました。
自分がやっていたことなので、はっきり書いておきます。
そのうえで断言します。
過去問を配ると、得点は本当に上がります。
「過去問をやったくらいで点が上がるわけがない」とおっしゃる方がいますが、めちゃくちゃ上がります。
1回分ではありません。
4回分、5回分の過去問を集めて、試験範囲に合わせて編集して、子どもたちに渡すのです。
そうすると、同じ問題が出ます。
まったく同じ問題が出て、答えを覚えているから、考えもせずに解けてしまう。
この点についてSNSでは、「同じ問題を使い回す学校の先生の怠慢が問題だ」という意見も見かけました。
けれど、中学校の定期テストの範囲は、そもそもそんなに広くありません。
学習指導要領と教科書に沿ってきちんと教えてくださっていれば、出る問題は毎年だいたい決まってきます。
これは、先生を責める話ではありません。
ですから4回分、5回分の過去問をやっていれば、同じ問題も、似た問題も、たくさん出ます。
考えることをしなくても、得点だけは上がります。
私は前職で、その方法で上げてきました。
では、なぜ偏差値のほうは上がらないのか。
テスト勉強とは、意味がわからないまま問題を覚えることだ。
そういう勘違いを、子どもに植えつけてしまうからです。
以前、有意味学習と機械的学習の話を書きました。
意味を理解せずに丸暗記したものは、当然のように忘れます。
過去問を覚えて取った点数は、その典型です。
義務教育で身につけるべきなのは、学問の土台になる力です。
その入り口で、勘違いをさせない。
そこが、いちばん大事だと思っています。
Moveは2018年度から2025年度までの8年間、中1で学年平均偏差値51〜53だったクラスが、中3では毎年59以上になりました。
うち6年は、60を超えています。
過去問を使っていないことも、その理由の一つだと私は感じています。
この方針で、生徒を失ったこともあります
きれいごとだけを書くつもりはありません。
立ち上げの時期には、この方針が原因で塾を辞めた子もいました。
塾で過去問を使わないなんて信じられない、過去問を使ってくれる塾に移ります。
お母様からそう言われて、去っていった子たちが実際にいます。
まだまだ立ち上げの時期で、自分に信用がないからこんな理由で辞められるんだ、と、悔しく思ったことを今でも強烈に覚えています。
それでも、変えませんでした。
今も、変えるつもりはありません。
進学空間Moveは、中学校の定期テストの過去問を使いません。
もし今、塾をお探しなのでしたら、どの塾にも一つだけ聞いてみてください。
「定期テストの過去問を配りますか」
その答え方に、その塾が子どもの学力を何だと考えているかが出ます。
どちらを選ぶかは、ご家庭の判断です。
ただ、知らないまま選ぶことだけは避けていただけたらと思います。
長くなりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
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