新学期が始まりました。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。
先取りをさせておいた方が、後になって楽になるのではないか。
そう考えたことは、ないでしょうか。
私が放送大学で心理学を学び始めて、1年ほどになります。
まだまだ初心者ですけれども、座学で得た知識と、これまで教室で見てきた子どもたちの姿が重なる瞬間が、いくつかありました。
今日はその中でも、特に「なるほど」と思ったことをお話しします。
先取りして教えても、追いつかれてしまう
心理学の世界に、成熟優位説というものがあります。
アメリカのアーノルド・ゲゼルという研究者が唱えた考え方です。
ゲゼルは一卵性双生児を使って、こんな実験をしました。
双子の一方にだけ、階段のぼりの訓練を先に始めます。
もう一方はその間は放っておいて、後から訓練を始める。
さて、どちらが上手にのぼれるようになったと思われるでしょうか。
結果は、後から始めた方でした。
しかも、先に始めた方に追いついただけではありません。
短い期間で習熟して、成績も上回ったのです。
ここからゲゼルは、発達を決めるのは訓練よりも内側の成熟の方だと考えました。
体と心が育つ順番を待って、その時期に合ったことをしていけば、子どもはちゃんと伸びていく。
無理に教え込む必要はない、という教えにも聞こえてきます。
この話を初めて読んだとき、私は妙に腑に落ちるものを感じました。
自分の息子を見ていても、どこかでそんな気がしていたからです。
手を借りればできること、そして足場を外すこと
その一方で、ヴィゴツキーというロシアの心理学者が唱えた、発達の最近接領域という理論があります。
一人ではできないけれど、大人が手を貸せばできる。
その二つの水準の開きのことです。
この話は以前に一度、子どもに責任を渡すなら、勉強できる環境も一緒に渡すという記事で書きました。
今日はその先の話をします。
最近接領域への働きかけは、後に足場かけと呼ばれるようになりました。
工事現場の足場と同じです。
建物が建つまでは、なくてはならないものです。
けれども、建物ができあがったら外さなければなりません。
足場かけという言葉には、足場を外すところまでが含まれています。
そして、いつ外すのか。
そこが一番難しいところです。
自分でやれると分かった途端に、伸びる子がいます
Moveは、6年連続で中3クラスの平均偏差値が60を超えています。(2026年9月訂正:平均偏差値60超えは2022年からです。連続年数の記載は誤りでした)
中1の時点でのクラス平均は51から53ですから、2年間で7から9ほど上がっている計算になります。
この数字を支えているのは、入塾してから偏差値を10から15上げる子たちが、毎年一定数いることです。
その子たちを見ていて、いつも思うことがあります。
水を得た魚のような顔をするのです。
毎日、嬉しそうな顔をして塾にやってきます。
そして、遅くまで残っていきます。
勉強することが、まるで苦ではなさそうなのです。
今まで押し付けられることの多かった勉強を、自分の手でやっていいと分かった途端に、こうなります。
この子にとっては、今この場所で頑張ることが楽しいことなのだな。
そんな目を見ています。
Moveのやり方が、その子に合った。
つまり、その子にとっての発達の最近接領域に、Moveの体制がぴたりと合ったということなのだと思っています。
どこまで手を離すと、どこまで伸びるのか
思春期に入った中学生は、少しずつ親御さんの元を離れていきます。
外に自分の居場所を作って、そこで活動することで、だんだんと自立に向かっていく。
その居場所の一つに塾がなるだろうということは、私たちも自覚しているところです。
だからこそ、なのです。
その場所で、私たちが手をかけすぎたらどうなるか。
何でもかんでも教えてしまう。
魔法のプリントをたくさん用意して、この通りにやれば内申点が取れますよと渡してしまう。
それは足場を外さないまま、いつまでも組み続けているのと同じです。
むしろ、子どもの成長を止めてしまうのではないかと感じています。
では、どこまで手を離せばいいのでしょうか。
その子にとっての発達の最近接領域が、具体的にどこにあるのか。
それを探っていくことが、私たち学習塾のやるべき仕事だと思っています。
私の実感で言えば、自分でやろうとする子には、まず自分でやらせてみる。
そして、つまずいたところが出てきたときに、そこで手を貸す。
そのくらいがちょうどいいのだと思います。
少なくとも、自立に向けて歩き出そうとしている子を、塾のカリキュラムの中に押し込めること。
それは、その子が一番伸びる場所ではありません。
もちろん小学生であれば、話は変わってきます。
一人ひとりに、それぞれの最近接領域があります。
この子が自分で育っていくのを待つべきところはどこか。
大人が手を貸すべきところは、どこか。
そして、その足場を、いつ外すのか。
そこを見極めながら、これからも指導にあたっていきたいと思っています。
そして、これはご家庭でも同じだと思います。
中学生のお子さんが自分で走り出そうとしたときは、どうか勇気を出して、見守ってあげてほしいのです。
自分で動き出したことは、うまくいっても、うまくいかなくても、その次の自立の段階の糧になっていきます。
Moveはそう考えています。
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